固定残業代とは?求人票への記載方法と計算方法を解説

企業の給与制度の一つとして「固定残業代」を導入しているケースがあります。しかし、その仕組みや正しい表記方法について理解が不十分な場合、誤解やトラブルにつながることもあります。本記事では、固定残業代の概要から求人票への適切な記載方法、計算方法について解説します。

固定残業代とは?

固定残業代とは、従業員の合意のもとで、一定時間分の時間外労働に対する残業代を、毎月定額で支給する制度です。例えば、「基本給20万円+固定残業代5万円(30時間分)」のように、給与の一部として支払われることが一般的です。

この制度では、設定された固定残業時間に満たない場合でも、固定残業代は支給されます。ただし、固定時間を超えた場合は、追加の残業代を支払う必要があります。

「みなし残業」と「みなし労働時間制」の違い

「みなし残業」とは、固定残業代を含めた給与形態を指します。一方、「みなし労働時間制」は、営業職や在宅勤務など、労働時間の管理が難しい職種に適用される制度で、一定時間働いたものと見なす仕組みです。

固定残業代は、設定された時間を超えた場合に追加の残業代が支払われるのに対し、みなし労働時間制では、労働時間が実際に長くなっても残業代が発生しないという点で異なります。

求人票への記載義務と注意点

固定残業代を導入する企業は、以下の3点を求人票に明示する義務があります。

  1. 基本給の額(固定残業代を除く)
    例:「基本給21万円+固定残業代4万円(30時間分)」
  2. 固定残業代の金額と対応する時間数
    例:「固定残業代4万円は30時間分の残業代として支給」
  3. 固定残業時間を超えた場合の対応
    例:「30時間を超えた分の残業代は別途支給」

固定残業代の明示義務ができた背景

2015年に施行された「若者雇用促進法」により、固定残業代の適用を求人広告で明確に記載することが義務化されました。これは、固定残業代を給与に含めて記載し、求職者に誤解を与える事例が多発したためです。

適切な記載がない場合、求職者が正しい労働条件を把握できず、雇用後のトラブルにつながる可能性があるため、詳細な情報を記載することが求められます。

 

正しい求人票の記載例

適切な記載例

月給:25万円(基本給21万円+固定残業代4万円/30時間分含む)

  • 30時間を超えた分の残業代は別途支給

不適切な記載例(NG例)

月給:25万円(固定残業手当を含む)

  • 固定残業代の具体的な時間数・金額が不明確

NG例のように、固定残業代の時間数や金額が明記されていない場合、求人情報として適切ではありません。

固定残業代の記載ミスによる影響

固定残業代の記載が適切でない場合、法的な罰則はありませんが、ハローワークでは2016年から労働関係法令違反の求人票の受理を行わなくなりました。また、適切な情報を開示しなかったことで、後から残業代の未払いが認定され、企業が支払いを命じられるケースもあります。

まとめ

固定残業代は、給与の透明性を確保しながら、労働時間を適切に管理するための仕組みですが、求人票には正しく記載することが求められます。求職者に誤解を与えないためにも、法律を遵守した明確な表記を心がけましょう。

 

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